日本バイオインフォマティクス学会 2020年年会 第9回生命医薬情報学連合大会(IBMP2020)

ワークショップ概要

ワークショップ詳細

  • 代謝ネットワークの解析と制御

    オーガナイザー:田村 武幸(京都大学)

    代謝ネットワークの数理モデルの中でも、Flux Balance Analysis モデル(FBAモデル)は遺伝子削除や追加に伴う(1)細胞成長率や細胞死との関係の解析、(2)微生物等を用いた有用物質生産のシミュレーション、(3)二酸化炭素吸入による環境問題への新手法の開発等、基礎から応用に及ぶ生命情報学における重要な研究対象のひとつであるが、国内での研究人口は多くない。本ワークショップではFBAモデルに関するチュートリアルを行い、その可能性を議論する。

    • 荒木 通啓(国立健康栄養研究所)
      「代謝関連情報解析とその展開」
    • 戸谷 吉博(大阪大学)
      「フラックスバランス解析を利用した増殖連動型物質生産のための代謝設計とその応用」
    • 武藤 愛(奈良先端科学技術大学院大学)
      「大腸菌の網羅的二重欠失株生育実験データに基づく代謝ネットワークモデルの補完」
    • 田村 武幸(京都大学)
      「有用物質を生産する代謝ネットワーク設計の高速アルゴリズム」
  • 生命情報若手研究者の現在と未来を考える

    オーガナイザー:芝井 厚(理化学研究所), 板谷 琴音(理化学研究所) 

    バイオインフォマティクス研究やその応用の規模は拡大し続け、今後いっそう研究人材の質と量が必要となってくる。その未来を担う若手研究者の活動と交流を目的とした生命情報科学若手の会によるこのセッションでは、若手の研究発表に加え、コロナ禍での学生・若手の暮らしや研究活動への影響、また異分野との協力を通した将来の分野発展などを議論する。それらを通じ、改めて学会の意義・研究者のネットワーキングの方法を問う。

    • 板谷 琴音(理化学研究所)
      「若手から生命情報科学を問い直す」
    • 伊東 潤平(東京大学医科学研究所)
      「データ駆動科学で乗り出すウイルス研究の新天地」
    • 西村 瑠佳(総合研究大学院大学)
      「生命情報科学への新規参入とウイルスゲノム解析」
    • 河口 理紗(コールドスプリングハーバー研究所)
      「共発現ネットワークを利用したマウスの脳組織一細胞ATAC-seq解析の網羅的比較 」
  • 質量分析インフォマティクスへの招待

    オーガナイザー:山本 博之(ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社), 早川 英介(沖縄科学技術大学院大学) 

    メタボロミクスやプロテオミクスを始めとする質量分析を用いたオミックス研究において、質量分析計から得られるデータを情報科学的手法を用いて解析するための新しい研究分野である「質量分析インフォマティクス」の重要性が増してきている。本セッションは、質量分析データに馴染みのないバイオインフォマティクス研究者に向けて、質量分析データ処理の基本から最新の話題まで、応用例を交えつつ紹介する。

    • 吉沢 明康(京都大学)
      「質量分析インフォマティクスの世界:どこから来て、何者で、どこに向かうのか」
    • 山本 博之(ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社)
      「改めて質量分析インフォマティクスとは何か?:ソフトウェア開発からコホート研究まで」
    • 早川 英介(沖縄科学技術大学院大学)
      「ゲノムから読み取れない生物進化:質量分析インフォマティクスからのアプローチ」
    • 津川 裕司(理化学研究所)
      「質量分析インフォマティクス研究を通じた生命代謝システムの深層理解」
  • 臨床検体を用いたヘルスケア研究の最前線

    オーガナイザー:重水 大智(国立長寿医療研究センター), 奥田 修二郎(新潟大学) 

    大規模なヒトゲノム・オミクスデータだけでなく、カルテや画像等の臨床情報も研究に応用され、疾患バイオマーカーの同定、疾患の発症・予防の予測アルゴリズムの開発、人工知能の開発等、データ駆動型研究が臨床の現場で推進されてきている。本セッションでは、メディカルゲノミクスの分野で活躍している研究者の最新の知見を紹介し、若手研究者の新規参入へのきっかけを提供すると共に、当分野の今後の展望と可能性を議論する。

    • 浅海 裕也(国立長寿医療研究センター)
      「遅発性アルツハイマー病の日本人特有なリスクバリアント探索」
    • 吉原 弘祐(新潟大学)
      「ゲノムからみた産婦人科学」
    • 三澤 計治(関西医科大学)
      「尿酸値の失われた遺伝率は、レアバリアントがかなりの部分を説明する」
    • 重水 大智(国立長寿医療研究センター)
      「血液由来疾患バイオマーカーの探索と予測モデルの開発」
    • 奥田 修二郎(新潟大学)
      「病理画像から遺伝子変異を予測する」
  • データ駆動型医療が切り開く新地平

    オーガナイザー:新井田 厚司(東京大学), 島村 徹平(名古屋大学)

    近年、医療分野における機械学習や人工知能の利用が活発になってきており、医療データのモダリティも、ゲノム及び各種オミックスデータ、マイクロバイオームデータ、医用画像記録、ウェアラブルデバイスからのデータ、電子カルテ情報等、多岐に拡大してきている。本セッションは機械学習や人工知能の様々な医療データへの最新の適用事例を紹介し、データ駆動型医療の今後の方向性について議論する。

    • 宇野 光平(名古屋大学)
      「大規模プロテオミクスデータにおける相関構造を考慮した欠損値補完」
    • 林 周斗(東京大学)
      「ヒト抗体における網羅的構造多様性解析」
    • 白石 友一(国立がん研究センター)
      「ロングリードシークエンスデータからの複雑な後天的構造異常の検出」
    • 小嶋 泰弘(名古屋大学)
      「胚発生における遺伝子発現の時空間再構築」
  • バイオデータベース 使いかたと使われかた

    オーガナイザー:石濱 泰(京都大学), 沖 真弥(京都大学)

    国内外で多様なバイオデータベースが開発されているが、使い方や何の役に立つのかがわからず、活用を断念した経験は誰しもあるだろう。本セッションではタンパク質、エピゲノム、植物、創薬やゲノムバリエーションに関するデータベース開発者に講演を依頼する。データ収集や処理法のような開発者サイドの話題に終始せず、むしろ使い方や外部研究者による利用事例、意外な使われ方などを中心に紹介し、聴衆の新たな発想を喚起する。

    • 石濱 泰(京都大学)
      「使ってくださいjPOST」
    • 沖 真弥(京都大学)
      「ChIP-Atlasの使い方と使われ方」
    • 水口 賢司(医薬基盤・健康・栄養研究所、大阪大学蛋白研究所)
      「創薬支援のための統合データベース」
    • 荻島 創一(東北大学)
      「コホート・バイオバンクの統合データベース」
    • 磯部 祥子(かずさDNA研究所)
      「植物ゲノム情報ポータルサイト「PGDBj」と「Plant GARDEN」の紹介」
  • スーパーコンピュータとバイオインフォマティクス

    オーガナイザー:阿久津 達也(京都大学、NPOバイオインフォマティクス・ジャパン)

    スーパーコンピュータ「京」の後継機「富岳」の開発・整備が2021年度の共用開始に向けて進められています。さらに、新型コロナウイルス対策を目的とした試行的利用も始まっています。一方、いくつかの生命科学・バイオインフォマティクス関連研究機関では独自のスーパーコンピュータを備え、外部への利用も提供しています。そこで、特定非営利活動法人バイオインフォマティクス・ジャパンの主催する本セッションでは「富岳」の概要と生命科学への応用可能性について紹介いただくとともに、各機関の提供するスーパーコンピュータの利用法や利用例を紹介していただくことにより、バイオインフォマティクス研究におけるスーパーコンピュータの利用促進を図ります。

    • 阿久津 達也(京都大学、NPOバイオインフォマティクス・ジャパン)
      「趣旨説明」
    • 奥野 恭史(京都大学)
      「スーパーコンピュータ「富岳」によるCOVID-19 治療薬探索」
    • 西川 和嗣(京都大学)
      「京都大学化学研究所・2020年稼働新スパコンシステムのご紹介」
    • 渋谷 哲朗(東京大学)
      「スパコンシステム「SHIROKANE」とゲノム医療」
    • 小笠原 理(国立遺伝学研究所)
      「遺伝研スーパーコンピュータの紹介」